「春夏秋冬」
冒頭部分―――
‡ SPRING ‡
萌えいずる春である。
雪の間から植物は新芽をのぞかせ、動物たちは子作りに励む。
そして、ここイタリアの、とある邸の一室でも盛りのついたケモノがベッドの上で汗を迸らせ快楽に耽っていた。
子孫繁栄を主目的としている動物たちと異なり、この場にいる番は決して新たな命を生み出すことのない雄同士なのだけれど。
ギシ、ギシとキングサイズのベッドが激しく揺れる。
「…………くっ―――も、……もうっ、ストップ……なのなっっ」
ディナーを食した後、腹ごなしに付き合えとザンザスに言われてシーツの上に押し倒されてから既に数時間が経過していた。
挿入される側は著しい負担を強いられているので、適当なところで切り上げてもらわないと非常にしんどいものがある。
―――こ、腰が……腰の感覚がなんか……なくなってきたのな。
「ボンゴレの二大剣豪ってのは、随分とヤワじゃねぇか」
「それは今関係ないのな……」
剣豪だろうと何だろうと5時間もガツンガツン責め立てられ、何度もイかされれば限界に到ろう。
元々、山本は性的に淡白だったので、濃密な情交というのは得意ではない。
極端な話。一回達したら、そこで終了ということになっても全然オッケーな性質をしていた。
だが、山本と違い十代の青年は精力がありあまっているらしく、受け手の事情を鑑みることなく何度も精を迸らせるのであった。
「……ぁ……ァっ……ンッ……」
ザンザスは山本の腰だけを高く上げ、四つん這いにさせると、その格好で背後から抜き差しを繰り返していた。
「―――もー……ほんと、カンベン―――っ。腰が抜けちゃうのな」
というか、もう半ば抜けているかもしれない。
「あー? まだまだ平気だろ」
締まりはまだ良く、ちゃんとザンザスのモノをギュギュっと絡めとって刺激を与えている。
「う〜……」
―――泣いてもいい? なんなんだよー、もうっ。こんなエロイ子に育てた覚えねーんだけどぉっっ。
山本家ではエロ本もエロDVDもなかったし、深夜に放送される、ちょっとエッチ系の番組を見る―――なんてことも皆無だった。
ちょっと珍しいくらいに性的なこととは無縁の男所帯であった。
下ネタですら話題に上ることがなかった家庭で育てられたザンザスなのに、何故こんなに精力絶倫になってしまったのか。
―――人種の違いってやつか!?
イタリア人の恋愛パワーを少々侮っていたのかも。
「……ん……ふ……、ぁ……ぁ、ぁ……!」
ユサユサと前後に揺さぶられながら、山本は国民性の違いに涙する。
そんな単純な問題ではないのだが―――――。
―――エッチするの、嫌いとは言わないけど……お願いだから容量用法を守ってほしーっていうか―――ううう……もう意識を保てない、……か、も……――――――
カクンと体から力を抜き、そのまま山本は意識を失うと、過去へと旅立だった。